外食業界M&A② モスフードサービスが「ちりめん亭」運営会社を譲渡

2016年09月16日

平成25年10月28日、

株式会社モスフードサービスが、

「ちりめん亭」の直営並びにFC本部運営をしていた

株式会社トモスの株式を譲渡したと発表しました。

 

株式会社モスフードサービスについて

株式会社モスフードサービスはその名の通り、

「モスバーガー」を直営とFC展開する企業です。

 

2016年8月31日現在、

同社の店舗数は1740店舗にものぼります。

 

約711億円の売上と約40億円の経常利益を残し、

バーガー系の企業では、

マクドナルドとケンタッキーフライドチキンに次ぐ、

業界第3位の企業です。

 

1740店舗の内、1693店舗がモスバーガー。

残りは、紅茶やワッフルを主力とする「マザーリーフ」他、

イタリアンやグリル業態を展開されています。

 

そのモスフードサービスが「ちりめん亭」という

ラーメンチェーンを展開していたのはあまり知られていません。

 

ちりめん亭について

ちりめん亭は1986年にモスフードサービスが開発したラーメン業態です。

 

本格的な中華そばを売りにしながらも、

ざるラーメンや野菜ラーメンなど、独自のメニューを開発し、

メニューの多い独自路線の業態で当時評価を受けていました。

 

ピークの1999年には200店舗近い展開があったものの、

2000年前後より多種多様なラーメンが登場。

 

塩ラーメン、みそラーメン、つけ麺、

魚介スープ、鶏白湯、油そば、

などが次々にブームとなり、

ちりめん亭の勢いは徐々に衰え、

譲渡時には店舗数は約30店舗ほどにまで減少していました。

 

売上は約7億円、1億円ほどの赤字を出すまでに悪化し、

平成25年10月28日に、

株式会社ケンコーが、モスフードサービスが保有していた

株式のすべてを取得しました。

 

株式会社ケンコーについて

株式を受け継いだ株式会社ケンコーは、

平成28年度にはグループ全体で58億円を売り上げる会社で

(同社ホームページ調べ)、

設立から12年ながら早い成長を実現されています。

 

トモス社を買収した年の前期決算では、

売上が約25億円ですので、

僅か3年の間に倍以上の規模に成長しています。

 

同社は横浜家系ラーメンで事業をスタートし、

その後中華料理店や多種のラーメン業態へと手を広げられ、

現在は本体だけで91店舗と広く展開されています。

 

今回のM&Aについて

トモス社は、譲渡直前期決算で1億円以上の赤字を出していたことから、

モスフードサービス社の譲渡理由は明快で、

赤字事業からの撤退ということになります。

 

歴史の長い事業で一定のブランド(認知)はありましたので、

赤字事業とはいえ、苦渋の決断であったことは想像に難くありません。

 

一方でケンコー社にとっては、トモスが赤字会社とはいえ、

約30店舗もの店舗網を一挙に獲得できたことは大きな意味を持ちます。

 

ちりめん亭の出店地域がケンコー社とある程度重なっており、

かつケンコー社が得意とするラーメン業態であったため、

再生の見通しが立てやすかったのではないかと想定します。

 

現在トモス社のホームページを見ると、

店舗数は20にまで減っているため、

再生の見込みがないところは業態転換か撤退の決断をしつつ、

注力すべきところに集中されているように見えます。

 

現状の業績は分かりませんが、譲渡から約3年が経った今、

20店舗を未だに運営しているということは、

一定の改善成果が創出されているのだろうと想定できます。

 

業績が悪かったとしましても、

一定の店舗数があれば、それは企業によってはプラスの資産に見えますし、

業歴の長い企業は昔からの良物件を抑えていることが多く、

その物件を獲得できるという点でも、価値が認められます。

 

大手が再生できなかったものを中堅中小企業が再生する、

という逆転現象事例として、とても面白いものだと思いました。