M&Aを「敵対的」という時代錯誤

2016年09月13日

未だにM&Aというと、

「敵対的」

と反応する経営者がたくさんいます。

 

これは非公開企業(上場していない企業)のM&Aにおいては、

理屈的に有り得ないということは、

これまでに何度もお伝えしてまいりました。

 

※株は持っている人が「売る」と言わなければ買えません。

ほとんどの中堅中小企業は、オーナー経営者です。

即ち経営者が経営する企業の株式の大半を所有しています。

その会社を敵対的に買収したくても、株主である経営者が、

売ると言わないことには買えないので、敵対的になり得ない。

 

さて、今回はそういう理屈の話ではなく、

そもそも敵対的M&Aということの時代錯誤・時代遅れ感

をお伝えしたいと思います。

 

多少感覚的な話にもなりますが、ご容赦くださいませ。

 

上記の通り、敵対的なM&Aというのは、

中堅中小企業のM&Aにおいては、理屈上有り得ません。

 

しかし、M&Aが成立した後であれば、

その会社はもはや買い手企業の所有企業ですから、

売り手からすれば「敵対的」ともとれるような

行動がとられる可能性はあります。

 

例えば、人員整理。

売り手の従業員からすれば、M&Aのせいで職を失った、と感じるでしょう。

だからこのM&Aは「敵対的」だったんだ、と思うでしょう。

 

あるいは、経営方針。

買い手が違う経営方針を打ち出したことで、

売り手経営者にとってはこれまでのように経営ができなくなった。

これは結局「敵対的」だったんじゃないか、と思うかもしれません。

 

 

このような話が「時代錯誤」と感じる理由を記載します。

 

1.人員整理

 

世の中全体が人員不足で、外食業界は中でも顕著です。

 

都内なら下手すればアルバイトを一人雇うのに50万円以上かかる、

なんていうことも良く聞きます。

 

 

ですから、従業員は整理どころか、従業員がついてこないのであれば、

買わない、というぐらい重要な条件です。

 

それはそうです。

人がいなければ会社や店を買ったところで、事業は動きません。

 

時代が違います。

解雇したっていくらでも代わりはいる、という時代ではありません。

むしろ代わりはいないのだから、残ってもらわないと困る、という時代です。

 

ですから、人員整理を不安に思うとすれば、

それは時代錯誤に感じます。

 

但し、ここは極めて重要ですが、

どんな時代であれ、不良社員は会社には必要ありません。

ですから、そういう社員であれば整理対象になる可能性はあります。

 

2.経営方針

 

M&Aによっては、買収後も経営者が残るケースがあります。

株式を一部保有し続けられるケースもあります。

 

さて、買収後に経営方針を変えられてしまい、

困ってしまわないか、というようなことですが、

これは2つにパターンを分けて考えます。

 

一つは再生型のM&A。

 

譲渡対象となっている事業が不採算であれば、

当然ながら再生が必要ですから、経営方針は変えないといけません。

 

それでも変えるのが嫌だという経営者がいるのであれば、

即日経営者を引退すべきだと思います。

 

法人と個人はあくまで切り分けて考えないといけません。

経営者はあくまで法人の成長を最優先とすべきです。

法人の成長のための経営方針を受け入れられないとすれば、

経営者失格だと思います。

 

二つ目はシナジー型のM&A。

 

このケースでは、譲渡対象となる企業は不採算ではなく、

むしろ相当の力を有していることになります。

 

買収企業は、譲渡対象企業の強みを吸収することに加え、

買収企業が保有する強みを譲渡対象企業に還元することで、

双方の業績伸長を目指します。

 

このケースで、買収企業が譲渡対象企業の経営方針を変えるのは、

余程その事業に長けていないと、怖くてできないでしょう。

 

例えば居酒屋を展開する企業がレストランを買収する。

例えばレストランを展開する企業がラーメンチェーンを買収する。

 

このような事例は枚挙にいとまがありません。

じゃあ居酒屋で成功したノウハウをレストランに投下すれば、

更にうまくいくかといえば、そんなことあるわけがありません。

 

もちろん、共有できるノウハウや仕組みはあるでしょう。

しかしながら、外食事業にとって肝となる、

業態開発、物件開発、サービスなどは、

それぞれの業態・業種によって全然違うはずです。

 

ですから、買い手企業にとってはそこに口を出すのは容易ではなく、

むしろ心境としては、「俺は分からないから、頼むぞ」ぐらいのものでしょう。

 

 

ひと時代前には、多くの企業が「俺らのノウハウを入れてやる」ばりに買収したものの、

結果それが当てはまらずにM&A自体が失敗の烙印を押される、

というような事例が確かに少なからずありました。

 

もはや、そういう時代ではないのです。

画一的なチェーン展開ノウハウが活きる時代ではないのです。

 

ですから、買収された後に「敵対的」な行動をとられるのでは、

という心配は「時代錯誤」だと思うのです。

 

 

フースタM&Aでは再生系のM&Aはあまり担当しません。

ですから、シナジー型のM&Aがほとんどです。

 

フースタM&Aの実績にても、敵対的の事例など一切ありません。

 

現代のM&Aは協調的なのです。