譲渡を告知するタイミング、告知すべき相手とそうでない相手

2018年03月01日

例えば経営している会社の株式を譲渡しようと考えたときに、会社の取引先・従業員・金融機関など告知の必要性が想定される対象者が多数いると思います。

 

しかし、M&Aの内容によっては必ずしも告知の必用がない相手もいますし、また相手によって告知のタイミングも変わります。

 

まず、告知のタイミングですが、大きく①譲渡前の告知と、②譲渡後の告知に分けられます。

 

譲渡前に告知すべき対象は、例えばその対象者との契約が譲渡後に打ち切られてしまうような可能性が想定されるような相手です。

 

例えば、対象事業の責任者のような従業員です。

 

その人がいないと対象事業の運営が成立しないと想定される場合、譲渡後に告知したとして、「そういうことであれば辞めます」とでもなってしまうと、買収した側からすれば、買ってしまったものの事業運営ができなくなることにもなりかねません。

ですから、そのような重要な従業員が対象会社にいる場合には、譲渡事前にM&Aの目的などを説明し、理解してもらい、尚且つ前向きに捉えてもらえるように話し合いの機会を設けることがあります。

 

あるいは、店舗展開をしている企業であれば店舗の貸主です。

 

契約上、貸主がM&Aを事由に一方的に契約破棄できるような内容にもしなっていたとすれば、会社の譲渡をしたはいいものの、店舗の運営を継続することができない、ということにもなりかねません。

ですから、賃貸借契約の内容は事前に必ず精査した上で、事前承認が必要であれば事前に告知して承認を取る必要があります。

 

一方で、仕入れ先などは株主や代表者が変わったからといって、取引を打ち切られる可能性は少ないです。

ですから譲渡が成立した後に、「経営者が変わりました。引き続きよろしくお願いします。」というような趣旨の連絡だけ差し上げて終わらせることが多いです。

 

また、そもそも告知をする必要性についてですが、例えば先日私が支援した企業の場合、株は譲渡しましたが、経営者は変わらずに経営していく、というパターンがありました。

株主が変わっただけなので、特に従業員への告知は必要ないだろうということで、一部幹部陣を除いて、大勢の従業員にはM&Aが成立したこと自体を伝えていません。

これはケースバイケースで考えると良いと思いますが、この事例においては、告知をすること自体で余計な混乱を招いてしまう可能性、即ちデメリットが生じる可能性のほうが、告知によるメリットよりも大きいだろうと買い手が想定されて、結果告知はしないという結論に至りました。

 

出来る限りスムーズにM&Aが実行され、そして譲渡後に対象会社の経営を更に上向かせるために、誰に対して、どのタイミングで告知すべきか、を考えていくことです。