後継者はいるがM&Aを選択したB社

2017年11月13日

前回は「後継者はいるが、市場の先行きが不透明であり、後継者に継がせても辛い思いをさせるのではないか」といった理由でM&Aを選択されるケースが増えており、その一例を紹介いたしました。(前回のコラムはこちらから)

今回も後継者に事業を引き継がなかったB社の事例を紹介したいと思います。

 

菓子小売店のB社は60年以上続く老舗企業です。現社長は2代目で年齢は60代後半に差し掛かっておりました。ご子息は飲料系の商社から数年前にB社へ転職し、後継者候補として専務の役職についておりました。

 

B社のお菓子は幅広い層に支持され、数十店舗にまで店舗数を伸ばしてきましたが、様々な要因から、ここ数年で売上は激減。3期連続数千万~億単位の赤字という状態でした。

 

抜本的な改革が必要な状況でしたが、

・社長は昨年大きな病気にかかり、回復はしたものの、体力的に経営を続けていくことが困難

・ご子息は菓子ではなく、元々関心があった飲料系の販売がしたかった。

・現社長も先代から望んでB社を引き継いだわけではないので、息子には好きなことをやらせてあげたいという想いがあった。

・社内にはB社を引っ張っていくような人材がいなかった

という理由から、良い引継ぎ手がいれば譲渡したいと考えるようになりました。

 

何社か買手候補企業にお会い頂いた中で、社長が最終的に譲渡先として選ばれたのは、食料品や日用品の小売店を展開するC社でした。選ばれたポイントは、C社はM&A経験が豊富であり、B社の事業と従業員の成長が実現できることと、譲渡金額が希望に近しかったという点でC社を選択されました。

 

今年初めにC社への譲渡が無事完了し、社長は現役を引退。譲渡で得た資金でセカンドライフを歩み始めました。また、ご子息は元々やりたかった飲料販売の事業を始められました。

 

B社はというと、C社から優秀な人材を送り込み、徹底的にテコを入れたことで、前年対比110%以上の売上増となっており、1年でトントンというところまで改善。今後、国内だけでなく、海外への出店も視野に入れており、従業員の活躍の場も増えていくことでしょう。

 

執筆:野川恭平