M&Aコンサルタント選定基準

M&Aを検討したくても、実際にはどうすれば良いのか分からない方がほとんどだと思います。

M&Aについての相談はM&Aコンサルタントにするのが一番なのですが、一口にM&Aコンサルタントと言っても多くの会社があり、どこに相談すれば良いのか迷ってしまわれるでしょう。

ここでは飲食店業のM&Aを考えた場合、どういうM&Aコンサルタント会社に相談するのが良いのか、その条件を列記します。

M&Aコンサルタント選定基準

飲食業界に明るく、動向やトレンドに精通している

飲食店業界のM&Aは他の企業・事業と違い、業界の動向やトレンド、ブランド価値や店舗の立地性、地域性などによってその価値が大きく変動する業種です。これらは書類上の決算数値のみでは判断できない材料です。

飲食業界のことが理解できていない人がアドバイザーを行うと価値を正しく判断できないままM&Aを進めてしまうことになってしまいます。

加えて、飲食業界のM&Aには他の業界にない特徴が多くあり、M&Aは成立しにくいと言われています。何故ならば、飲食業は譲渡案件が比較的多い業種であるため、買い手に多くの情報が持ち込まれてしまい、その中から好条件のものが選ばれてしまうからです。

これ以外にも、飲食業同士、つまり同業者同士によるM&Aは同業シナジーが明確になりにくいことも特長です。これらのことを理解していないでM&Aを進めていくと、結果が出ないばかりか、納得できない条件を飲まなければいけなくなってしまいます。

飲食業界のことをどれだけ理解しているか、飲食業のM&A経験はどの程度あるのかなどを把握したうえで、相談されるのが良いでしょう。

飲食店業界の将来を見据えた視点を持っている

完全に製品化された流通商品を販売する小売店なら、売っているものはどこでも同じ商品です。価格の違いやそのお店の商品ラインナップが違ったとしても、消費者にとっては店がAになろうがBになろうが商品そのものに違いはありません。

しかしながら、飲食店は小売店とは全く違います。料理ジャンルの違いだけでなく、味、価格帯、店舗の雰囲気、顧客層など、一つとして同じものはありません。そしてその違いは消費者のニーズを反映しているともいえるわけです。

例えば、全ての飲食店がサイゼリヤと大勝軒とジュエルロブションと白木屋になってしまったらどうでしょう。また店名が違うだけで、内容は同じお店ばかりになってしまったらどうでしょう。こうなると外食する消費者も減っていくでしょうし、最終的には価格でしか競争できなくなり、いずれは衰退していきます。

飲食業界のM&Aコンサルタントは、自身の利益のためだけにM&Aを成立させればそれで良いわけではありません。飲食業界を支える者として、多くの個性を存続させていく意識を持っているかどうかが飲食業M&Aコン
サルタントに大切なのです。

売主にとって何がベストな選択かを常に理解する姿勢がある

M&Aコンサルタントは、M&Aを成立させようと色々な方法を考えてくれるのですが、実は状況によってはM&Aが経済合理性からもベストの方法ではない時があります。

こんな実例をご紹介しましょう。

土地建物は高齢の社長自身が所有しており、法人名義で店舗を借りて飲食店を経営していました。一店舗だけしかないので、大きな利益が出ているわけではありませんが、不動産会社からマンション建設のために土地を買いたいと言われており、M&Aが良いのか悩んでいる。

こんなケースの場合は、じっくりと状況を判断して、何がベストの方法なのかを考えなくてはいけません。

この社長の場合は、後継者もおらず、店を残すつもりもない。年金ももらっており、少しの金額をチビチビともらってもしょうがないとのことでした。店舗数も一店舗で、大きな利益も出ていないとすると、大きな譲渡価格は期待できません。

この時M&Aコンサルタントのやるべきことは、M&Aで土地建物ごと事業譲渡した場合の事業譲渡価額と不動産売却収入を想定しながら、不動産会社に土地を売却したときの売価を比較検討するということです。

どちらにせよその土地の時価を検討しなくてはいけませんが、土地の活用方法が変わるため、評価も変わるはずです。また、デベロッパーのマンション建設は大きな収入が見込めるため、M&Aをするより高値での購入を提示される可能性が考えられます。

経済合理性としては不動産会社への売却の可能性が高い、という話になりました。結局M&Aは流れてしまったのですが、これがM&Aコンサルタントの本来の仕事なのです。

何が何でもM&Aをすることがベストなのではなく、その企業・事業・オーナーの状況を考えながら、最も良い方法を模索することが必要です。

このようなM&Aコンサルタントなら、安心して状況を話されるべきです。

飲食業の事業の軸を理解できている

例えば売却したいと考えている飲食店が「中品質でも安価なものを世に多く提供することを通じて、所得に関係なく誰でも美味しいものを食べられる世界を作りたい」という事業軸で今まで経営してきた場合、持っている店舗やノウハウ、人材、付いている顧客は、その事業軸に沿ったモノやコト、人であるはずです。

そのことを理解せずに「高くても高品質なものを提供することを通じて、食生活水準を引き上げたい」という軸を持った企業にM&Aを働きかけても上手く進むとは思えません。事業に対する考え方、つまり軸が決定的に異なっているため、この両者の融和は現実的でないことがお分かりになるかと思います。

飲食業のM&Aコンサルタントは、飲食を通じて実現しようとしている事業軸を正しく理解していなければ、アドバイスは的外れになってしまいます。その結果、M&Aも成立することはありません。

飲食業のライフサイクル・特徴に地域差があることを理解している

ファッションに流行があるように、飲食業でも流行り廃りの業態というのは確かにあります。そして、業態自体にもやはりライフサイクルがあります。

しかしながらこのライフサイクルは、都市部と地方では同じタイミングではなく、ズレが生じています。例えば東京の経営者に、東京では既にライフサイクルが衰退している業態の案件をお持ちしても、こんなもの検討できないと言われてしまうでしょう。しかしながら、少し地方に行けばこのような業態が悠々とお客を並ばせて大きな利益を残していたりします。

また地方へ行くほど駅前だけに店舗が集中していますが、駅前の店を売却したい場合には、買収に複数の企業が名乗りを上げる可能性が高くなります。

このように、地方の企業には都市部の企業とは違った特徴があり、それを強みと捉えてくれるM&Aコンサルタントでなければ、理想的なM&Aはできません。

上記以外にも、オーナーが独自に考えたレシピで作った料理やこだわり抜いた内装などは飲食業界独特のものであり、一般的な小売店にはないものです。思い入れもその分、大きいはずです。そのオーナーの気持ちを理解したうえで、少しでも良い形にしていくのがM&Aコンサルタントなのです。