法律関連用語


提携仲介契約

M&Aの工程では専門知識が必要となる場面が多いため、交渉開始から契約締結までの仲介業務をM&Aアドバイザーに依頼する。

M&Aアドバイザーは、売り手企業に個別相談や資料収集といった業務を提供し、買い手企業にはノンネーム資料での提案や秘密保持契約の締結、具体的な資料の提出などを提供する。

この契約は、売り手側の場合は個々の株主とM&Aアドバイザーとの間で締結されるが、買い手側との契約は買収主体の法人との間で締結される。

契約には業務範囲、報酬、有効期間、秘密保持、仲介者の義務・責任などが記載される。


エスクロー

商取引における取引の安全性を確保する仲介サービスのこと。

M&Aでは、決済資金の一部を第三者に寄託しておき、売り手側による契約条件が満たされた時に決済資金を支払うなどの時に活用される。

海外では公的機関による取引監査制度等があり、エスクローの信頼性を確保する制度が整備されている国もある。


買戻条項

売買契約締結にあたって、特定の条件の場合、売主が買主から買い戻す旨の条項を付けること。

不動産売買契約では民法に規定があるが、不動産売買以外の場合でも買戻特約を付ける場合がある。

なおM&Aにおいては、経営権が移転してしまうと権利関係が複雑となるため、契約締結後の解除や買戻特約が付けられることは稀。


株主間協定

株主間において、特定の事項について取り決めをすること、もしくはその内容のこと。

M&Aによる株式譲渡や第三者割当増資が行われ、その結果として、複数の株主によって会社が運営される場合などに見られ、当該株主によって会社の運営方法やルール等を定めた株主間協定を定めることである。


競業避止義務

M&A実施後に、売主が売却会社と競業する行為を行って、買主に損失を与えないために売主が負う競業禁止の義務のこと。

M&Aの売主が、譲渡した事業で得たノウハウや人脈を利用して競業を行うと、買い手企業はM&Aの当初の目的が果たせなくなる。そのためM&Aの契約書には、売主に一定期間・範囲の競業避止義務があることを条項に入れる場合がほとんどである。

なお会社法21条に規定があり、当事者同士で特に合意がなく事業譲渡を行うと、20年の競業避止義務が発生する。


ADR

Alternative Dispute Resolutionの略。

「裁判によらない紛争解決方法」のことで、仲裁、調停、あっせんなどを指す。

2007年施行の「裁判外紛争解決手続の利用 の促進に関する法律」によって、認証を受けた民間の事業者がADR事業を営めるようになった。

なお一定の要件を満たした事業者は、事業再生ADRの業務を行うことができるようになった。


詐害行為

債務者が、債権者に対して害することを知りながらも自己の財産を減少させる行為。

詐害行為に該当するかどうかは行為態様や認識等との相関判断によるが、債権者は債務者のこの行為を取り消すことができる場合もある。


法人格否定の法理

本来法人とは、構成員や株主、役員などとは別個の人格とみなされ、独立して権利義務の主体となる。

しかしながら、法人格が形骸化している場合や法人格が濫用されている場合、紛争解決に必要な範囲で、法人とその背後の者(株主など)を一体であるとみなす法理のこと。


第二会社方式

スポンサー企業が見つからず、自主再生により再生を図る場合に用いられる方法のこと。

親族や従業員などを代表とする新会社を設立し、事業譲渡や会社分割を用いて収益性のある事業部門のみを新会社に譲渡・移転することで事業の維持・再建を図る。

収益性が良くない事業部門だけが残った債務企業は、移されなかった資産等を売却したのちに清算される。


中小企業金融円滑化法

金融危機・景気低迷による中小企業の資金繰り悪化などへの対応策として、平成21年12月に約2年間の時限立法として施行されたもの。

内容は、中小企業が金融機関に返済負担の軽減を申し入れた場合、できる限り貸付条件の変更等を行うよう努めることなどであるが、二度にわたって延長された後、平成25年3月末で終了した。


DDS

Debt Debt Swapの略。

債権者が債権を別の条件の債権に変更することで、一般的には金融機関が既存の貸出債権を、他の一般債権よりも返済順位の低い劣後ローンに切り替える手法を取る。

企業再生手法の中でも比較的実行しやすい方法で、主に経営難に陥った中小企業などの再生手法として利用されている。


劣後ローン

会社が解散や経営破たんした場合、債権者への支払い順位は普通の債権より低い、無担保の貸し出し債権のこと。

破たんした場合には、一般的な債権への支払いが終わった後、資産が残っていれば分配してもらうというリスクがあるため、金利は高く設定される。

金融機関は、一定の要件を満たす劣後ローンであれば資本と同等にみなすため、DDSによって既存の融資を劣後ローンに転換交換する金融支援策が活用される。


DIPファイナンス

DIPとは、Debtor in Possession(占有を継続する債務者)の略。

企業が民事再生法など、倒産手続きを開始した後も旧経営陣に経営を任せ、新たな資金を提供する金融手法のこと。

再建中の企業に対する融資という抵抗感や担保の問題等があるため、民間ではなく、政府系金融機関が中心となって取り扱う。


プロラタ方式

プロラタとは、「比例配分できる」という意味のProratableの略。

複数の金融機関から借入をしている際、借入金額に応じ、比例的に返済額を決めて返済すること。

複数の金融機関の間で不公平が生じないための方法である。