買収の際に大切なこと

リスクの洗い出しと確定

事業を買収する際に最も大切なことは、売り手企業にリスクがあるかないか、あるとすればどんなリスクで、どの程度のものなのかを正確に把握しておくことです。

これが明確にできていないと、そのリスクによって万が一トラブルが起きてしまった場合の対応策や賠償内容などを契約書に記載せずに最終契約を締結することになってしまいます。

そのリスクが現実になった時には、買い手企業が全ての責任を負わなくてはいけなくなってしまいます。買収監査・デューデリジェンスで可能な限りリスクを洗い出し、確定させておくことが重要です。

買収時の大切なこと
リスク例

  • 簿外債務(決算書に記載していない債務)
  • 保証債務(他社の連帯保証)
  • 税務面(グレーな節税方法)
  • 人材の流出(退職者)
  • 公害(土壌汚染、産廃、有害物質など)
  • 瑕疵(ソフトウェアの瑕疵、リコールなど)
  • 贈収賄(公的機関との取引)
  • 背任(横領や業者との癒着など)

これらのリスクは業種や規模、取引先などによって変わってくることが考えられます。

そのため、どの部分に、どれほど重点を置いて買収監査・デューデリジェンスするのかも変える必要があります。

また、項目の内容に応じた専門家が調査しないと分からない分野もありますので、注意が必要です。

社員や取引先を前向きに

買い手企業にとってM&Aは、今以上に成長・拡大していくために大切な戦略です。

しかしながら、売り手の企業が今まで事業を続けられたのは社長だけでなく、全ての社員が維持・発展のために努力してきた成果でもあるのです。これは取引先企業も同様です。

そのためM&Aを行う際に大切なことは、社員や取引先企業がやる気を損なわないようにすることです。

せっかくM&Aで買収しても、その途端に社員が辞めていったり、取引先が離れていくのでは意味がありません。

M&Aは機密保持が原則です。そのため、契約が成立するまで、社員に知らされることはありません。ですが万一、会社が譲渡されることを報道や噂などで知ってしまうと、大きく気持ちが削がれてしまいます。

中小企業、特に飲食業の幹部クラス社員は、創業者である社長についてきた、社長の料理が大好きで働いてきた、などの社長への思いが強い場合が多く、彼らにM&Aを伝える方法や伝え方、タイミングによっては今後の士気に大きく影響してしまいます。

社員や取引先企業は、買い手企業はこの会社を今後どうしていくつもりなのか、その思いはどれほどのものかを知れば安心もしますし、今まで以上に前向きに取り組んでくれます。

そのためにも、売り手側と買い手側、そしてM&Aコンサルタントは慎重に取り組むべきであり、これらを上手くコントロールするのもM&Aコンサルタントの役割だと言えます。